米津玄師『馬と鹿』MV&歌詞の個人的考察

Photo by Kenny Webster on Unsplash米津玄師

みなさん、こんにちは。みなちかです。

私の大好きなアーティストの米津玄師さんが新曲『馬と鹿』をリリースしました。

YouTubeのMVも2019/9/5時点ですでに450万回の視聴回数を突破していて、一週間で1000万回突破も現実的な状態です。凄すぎですね。

見た方も多いと思いますが、今回も米津ワールド全開です。

この曲は、TBSテレビ日曜劇場 ノーサイド・ゲームの主題歌になっています。残念ながら私は1回も見たことがありません。しかし、ストーリーだけはネタバレサイトで見ております…

そのうちビデオになったら一気に全部見ようかなと目論んでいます。

このMVを見た時から何となく無性に米津玄師がどんなことをを考えてこの曲とこのMVを作ったのか考えたくなりました。 最初パッと見て、不思議すぎて何のことかさっぱりわからなかったのでw

今日の時点ではまだCDも発売されていない状態ですし、正解は何もわかりませんが、私なりに『こんな感じなのかなー』という考察をしてみたいと思います。

最初に謝っておきます。これを読んで気分を悪くされた方、超ガチファンの方すみませんm(_ _)m

あ、でも私もガチファンなので、一人のファンの意見として大きな心でお許しください。

では、批判に負けず書きます!

米津玄師『馬と鹿』MV&歌詞の考察

1.『馬と鹿』というタイトルについて

▼まずは馬と鹿の共通点から

  • 4足歩行である
  • 哺乳類である
  • 草食動物である
  • 馬はウマ目(奇蹄目)のウマ科  鹿は鯨偶蹄目 シカ科 両方とも学名に『蹄』を持つ

▼馬と鹿の相違点

  • 鹿のオスは角が生える(トナカイはメスも生える)馬は生えない
  • 馬は人が乗れるほど大きく成長する 鹿は馬に比べるとサイズ的に小さい
  • 馬には鬣(たてがみ)がある

これを読んだ上で下のジャケット写真をご覧ください。これは米津さん自らが書いたそうです。米津さんは絵がうまいことでも有名ですよね。MVなんかでもよく登場します。

引用:米津玄師『馬と鹿』ジャケットイラストより
馬と鹿(初回限定/映像盤)/CDシングル(12cm)/SECL-2495
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これ、馬と鹿の合体ですね。おそらく『雄の馬+鹿』

強い馬をベースにして、さらに雄鹿のチカラの象徴である角を足しています。最強ですね。

簡単に言えば『蛇足』です。一見『馬鹿な絵』ということになるのでしょうか。

しかし、米津玄師が考える『馬鹿』というのは

『こうまで強く見せられる』んだというメッセージであるように見えます。

『馬鹿』=『強い』、馬鹿になるくらい人は強くなれるんだよという

『馬鹿になってでも強く生きろよ』という強烈なメッセージのように私には感じます。

そして、これがこの曲の考え方に大きく影響してきます。

2.MV考察

先ほども書きましたが、MVは米津ワールド全開です。本来なら画像を差し込みながら解説をしたいところですが著作権的にちょっと怪しそうなので文章で書いていきたいと思います。

米津さんの歌のテーマで多いのが『愛と孤独です』。

米津さんにとって『愛はいつでもかけがえのない大切なもの』

孤独は『常に人間(自分)に付きまとうもの』

という定義があるような気がします。『孤独だけど愛に気づけば何でもできる』みたいな。

おそらくこの歌の大きな設定としては2つあって

  1. 社会の色々なルールやしがらみ、競争からの脱却
  2. モヤモヤした人間の色々な感情が愛に気づくことによって解放

1に関しては勿論主題歌なのでドラマノーサイド・ゲームに合わせた視点です。しかし、米津さんはさらにそこに2の『愛』というテーマも歌に盛り込みます。

この歌の物語、主人公は男で、もしかしたら最愛のパートナーを亡くしている設定かもしれません。

昨日まで一緒にいた大切なパートナーが不意に亡くなってしまったり、京アニ事件などで急に最愛の人を亡くしてしまった人たちへのメッセージと、亡くなった人達への鎮魂歌のような位置づけなのかもしれません。

『君を亡くして今はボロボロだけど、君との愛に気づいたから強く生きていこう』

『馬鹿になるほど狂おしいくらい君を愛していることに気づいた』

『亡くなった君も天国で僕の愛に気づいてほしい』

そんな感じの歌のようにも聞こえます。

MVのポイント

MVのポイントは次の5つになりそうです。

1.地獄から天国への脱出(芥川龍之介ー蜘蛛の糸モチーフ)
2.社会での孤独、社会のルールやしがらみからの脱却、競争の勝利
3.悩めるモヤモヤした自分の心の中⇒『愛』を見つけて新しい一歩を踏み出す 
4.ただの馬が『愛』を見つけて二本角を持つ強い『馬鹿』になる
5.3年A組―今から皆さんは、人質です― の菅田将暉を意識した演出w

このMVは私が見る限り『三層構造』になっています。

『悪い状況⇒良い状況』への展開を、話が分かりやすい、ほぼ誰でも知っている芥川龍之介さんの蜘蛛の糸を表面上のモチーフとして表していますね。

1層目(表面上)天国 ⇒ 地獄  
【このMVを初めて見る人を意識】

2層目(真ん中)社会のしがらみやルールなど ⇒ 脱却、勝利  
【ノーサイド・ゲームを見ている人を意識】

3層目(一番深い部分)人の落ち込んだモヤモヤした感情など ⇒ 強い決意、愛   
【MVをずっと見てくれている人やノーサイド・ゲームに興味のない人を意識】

米津さんの今回のMVは見れば見るほど味が出るように作りこんであるような気がします。

最初見た感じは何となく『蜘蛛の糸』を連想させるシーンだけが印象に残りますが、何回もよく見ていくと感情の変化に引き込まれます。これはMVを何度も見てもらうためにわざと層を作って視聴者を飽きさせないようにしている工夫のように見えます。

歌の冒頭部分、米津さんは屋上にいます。辺りも明るい風景です。米津さんの表情も普通な映像。

これはおそらく『地獄から脱出後の映像(愛に気づいた後)』だと思われます。

0:44あたりから組体操のような人が大勢いて何かのオブジェ(女性器っぽい?)を作っている映像が出てきます。

この人たちはよく見るとみんな女性です。しかも割と屈強そうな女性がたくさん。女性の力強さを表しているのかもしれません。

女性を表したいのであれば、普通きれいな女性やかわいい女性を1人カメラに写せばいいのですが米津さんの芸術性がそれを許しません。

『屈強な女性を使って女性の力強さを女性のシンボルマークを使って表している』ようにも見えます。そうだとすれば手が込んでいるというか一般人は考えもつかない領域ですね。

歌に合わせてダンサーたちは『人の感情』を表現しているように見えます。

女性の感情がそのオブジェに詰まっているかのような動きですね。

そして、1:23あたりで米津さんは右側に消えていきます。次の映像からおそらく過去映像です。

最初、米津さんは松明を1つだけ持ってただ広い暗闇にいます。地獄の入り口ですかね。

孤独で弱く、何も一人ではできない状態からのスタートです。

この時点ではまだ弱いただの『孤独な一匹の馬』です。愛に気づいていません。

1:42あたりで天国への出口(=愛)を一瞬見つけます。しかし、今の自分では登ることは出来ないとやはり一瞬であきらめてしまいます。

そして、フードをかぶって自分の殻の中に閉じこもってしまいます。色々とあーでもない、こーでもないと悩みます。

1;59頃に光を見つけます。歌も『 まだ歩けるか 噛み締めた砂の味  夜露で濡れた芝生の上』

と映像に合わせています。そこに何かあるかもしれないと気づきます。

その後たくさんのライバルたち(天国に行こうとする大勢)が少しの間登場します。

2:21頃にもう一度天国への出口を見据えて歌い上げます。

『 誰も悲しまぬように 微笑むことが 上手くできなかった 』という反省の元

『行こう、ここから出よう(=愛を見つける)』と考えます。

2:46頃ライバルたちが一斉に上を目指して1本のロープに群がります。ここは『蜘蛛の糸』の話で出てくる場面です。しかし、米津さんにはすでに上る(脱出する)決意があります。

2:59頃米津さんは覚醒します。松明を2つ(角)持った強靭な『馬+鹿』=馬鹿になります。

3:23頃米津さんは『行こう、花も咲かない内に』と歌い上げいよいよ地獄(=モヤモヤ)からの脱出を試みます。愛を掴むために強くなろうと決心します。

3:29いわゆる菅田将暉演出。これは『死ぬことさえ怖くないくらいの強い決意』の表れでしょうか。

米津さんは菅田さんに曲も提供していますし、仲が良いのでわざとかぶせた演出かもしれません。

3:36からはクライマックスです。もみくちゃにされながらもなんとか強い力で前へ前へと進んでいく、まさに『火事場の馬鹿力』を出す場面。愛を携えた人の決意です。

4:17頃の米津さんの目には『生きる意志』が見えます。

そして生還。誰もいない海です。場面が『狭い、大勢』⇒『広い、孤独』に変化します

地獄やライバルは人のモヤモヤした色々な感情。
その感情に打ち勝つためには強い意志や決意が必要。
馬鹿力を出して『愛』をつかみ取る。
しかし、モヤモヤした感情を打破しても、死んだ人は帰ってこない。

結局孤独であることには変わりがない。それも現実。

このMVの三層構造を理解すると割とすんなり解釈できるような気がします。

そして、最後に海を出すことで海つながりで次の曲『海の幽霊』につなげる。

という解釈です。少し強引なところもあるかもしれませんが私はこんな風に感じました。

MVを見ながら読み直してもらえるとありがたいです。

3.歌詞の考察

上記MV考察を加味しながら歌詞を読み進んでいくと歌詞はだいぶ理解できるところが多くなります。それでも難しいところもありますがw

歌は基本的にMVのポイントの2と3『社会(ノーサイドゲーム)と愛』の2層構造です。しかし、歌の方はどちらかというと『人の愛』に重点が置かれています(MVとは逆)。この歌をMVで表現化するために、表面上にほぼ誰でも知っている(学校の教科書にも載っています)『蜘蛛の糸』を米津さんは選んでいます。

歪んで 傷だらけの春 麻酔も打たずに歩いた 
体の奥底で響く 生き足りないと強く 
まだ味わうさ 噛み終えたガムの味 覚めきれないままの心で
ひとつひとつ 無くした果てに  ようやく残ったもの

前半パートです。

様々なことに疲れ、傷だらけの自分。行き足りないと嘆きながら、やる気だったり、生きる力だったりを失ってたどり着いた果てに残ったものが1つだけある。

最愛の人を亡くし、弱い自分に何とか鞭を打って生きている状態とも取れます。

これが愛じゃなければ 何と呼ぶのか 僕は知らなかった 
呼べよ 花の名前を ただひとつだけ 張り裂けるくらいに
鼻先が触れる 呼吸が止まる 痛みは消えないままでいい

サビです。

テーマ『愛』の解釈

たくさん悩んだけど君への愛だけは無くしていなかった、そのことを知らなかった。

花の名前=君の名前。たった一人愛した人、大きな声で叫びたいくらい愛している。

君のそばにいることで呼吸が止まるほど愛を感じる。痛みは関係ないくらいに。

愛を感じることで 様々なことに疲れ、傷だらけだった自分のやる気や生きる力が回復していきます。

テーマ『ノーサイド・ゲーム』解釈

花の名前=勝利or春の花である桜かもしれません。

ここはスクラムを組んでる感じですかね。

勝利することに集中している様子がうかがえます。

疲れた その目で何を言う 傷跡隠して歩いた 
そのくせ 影をばら撒いた 気づいて欲しかった
まだ歩けるか 噛み締めた砂の味 夜露で濡れた芝生の上
逸(はや)る胸に 尋ねる言葉 終わるにはまだ早いだろう

2番の前半パートです。

1番の前半パートと感情の変化はほぼ同じです。

日々疲れた目をして、体もボロボロになりながらお客さんに愛想笑いをして、あっち行ったりこっち行ったり、自分という存在を認めてほしくて、自分の影をばらまきます。生きることに疲れてしまい、もう終わりかなと考えるが、ちょっと待てよと思い直す。

誰も悲しまぬように 微笑むことが 上手くできなかった
ひとつ ただひとつでいい 守れるだけで それでよかったのに
あまりにくだらない 願いが消えない 誰にも奪えない魂

2番のサビです。

1番の歌詞と違うところは、愛を前面に押し出していない所です。

どちらかというと『後悔』『欲望』に近いもののように感じます。

周りの人に合わせられず不器用な自分を後悔している。特にたった一人の自分の最愛の人を守れなかったことを後悔しています。

くだらない願いとは『時間を元に戻してやり直しがしたい』という欲か、『亡くなってしまった最愛の人を生き返らせてほしいと』いう欲か、いずれにしても叶うはずのないくだらない願いです。

何に喩えよう 君と僕を 踵に残る似た傷を
晴れ間を結えば まだ続く
行こう 花も咲かない内に

Cメロです。

ここで初めて『君』という2人称が登場します。この、君が出てくることによって、この歌は『君』に対して歌っていることが確定的になります。

僕も傷ついているけれど、君も同じように傷ついている。

踵には似た傷が残っている。だから一緒に少しでも早く行こう。花が咲くのなんか待っていられないという、愛する人に1分1秒でも早く会いたいという気持ちが込められています。

余談ですが『踵(かかと)』という言葉は先日発売したパプリカにも出てきています。おそらく意識していると思われます。 関連記事 ↓

これが 愛じゃなければ 何と呼ぶのか 僕は知らなかった
呼べよ 恐れるままに 花の名前を 君じゃなきゃダメだと
鼻先が触れる 呼吸が止まる 痛みは消えないままでいい 
あまりにくだらない 願いが消えない 止まない

まとめパートです。

『恐れずに』ではなくて『恐れるままに』という言葉を使うところがうまいですね。

弱い自分を否定していません。どんなことでも最初は怖い。でも、怖がりながらでもいい『まずはやってみろ』と米津さんが言っています。

1番、2番の今までの重要な言葉をまとめています。米津さんの歌の手法の特徴でもありますね。

最後に『止まない』という新しい言葉を1つだけ入れるのも特徴的です。

4.最後に

いかがでしたでしょうか。

ノーサイド・ゲームという題材だけで歌を書くとなると、そこまで厚みや深さを持たせることは出来ないという米津さんの感性が『愛』をプラスすることによって何倍にも膨らませることに成功しています。

ノーサイド・ゲームというドラマの本質を損なわず、それでいて様々な人の共感を得るような曲を書ける米津玄師という人物は、やはり誰もが認める天才です。本人は謙遜していますが、結果がこれだけ証明しています。たくさんのアーティストが存在する中で自分の色をしっかりと世間に広めています。

決して一般人がマネできるものではありませんが、同じ時代に生きて、彼の歌を聴けるということは幸福なことなのかもしれません。

今後もたくさんのヒット曲を出してくれることでしょう。

ファンの一人として楽しみに待ちたいと思います。

それにしてもこのアルバムに入っている『でしょましょ』ってタイトルの歌がどんな歌なのかめっちゃ気になるんですよね…

では、また!

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は 馬と鹿ジャケット.png です
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MV何度も見たり、歌詞耳コピしたりで編集に合計8時間かかりました。。。(*´Д`)

こちらでもOKですし、ツイッターでもいいので感想お待ちしています!

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