みなさん、こんにちは。みなちかです。
さて、今日と明日は、今まで私が実際に経験した衝撃エピソードの中から1つを紹介してみたいと思います。
このエピソードはかなり昔のことですが、当時は本当にびっくりしました…
今でもはっきりと覚えているこのエピソードは、私の中でもダントツのエピソードです。今回は随筆形式で書いていきたいと思います!
是非最後まで読んでくださいね^^
もくじ
とあるアイドルの女の子が入塾した時の話 その①
・ある女の子との出会い
4月の中旬、ある日の昼下がりのことだった。
当時私は、とある塾で教室長として働いていた。その教室には生徒数が200名以上おり、講師の人数も15人近くいた。その日も教室の清掃や講師達とのミーティングを済ませ、5月に行われる中間テストに向けた作業を皆でしていた。
ふと、電話が鳴る。外部からの電話は私がいる場合、基本私が取るのがルールだ。
「お電話ありがとうございます。○○塾です。」私はいつものように電話に出た。
「塾に入りたいのですが、体験授業が受けられますか?」少し、か細い母親の声。
「もちろんですよ。是非受けにいらっしゃってください。今何年生ですか?」私が学年を聞く。
「中学2年生です。ただ学校にあまり行けていなくて…」母親は心配そうな声を出す。
不登校気味かな?と思いながら話を進める。実際塾には不登校の生徒も通ってくる。学校の授業に出ていなくても出席日数さえ足りていれば入れる高校は存在する。
「畏まりました。では中学2年生の初回体験授業が出来る曜日と時間は…」という具合にいつものように授業の曜日と時間を伝えたところ、その曜日には来ることが出来ないということだった。
「そうですか。習い事か何かで難しいのですか?」勿論、こういうパターンもよくある。他の稽古と曜日や時間が重なることは日常茶飯事だ。私は代わりの曜日と時間を提示した。
「その日なら行けます。お願いします。」母親から安堵の声が漏れた。
私は、『公立○○中学校に通う2年生の女の子 安田えりな さん(仮名)』をメモ帳に仮登録した。
「では、準備してお待ちしております。よろしくお願いいたします。」私はそう言って電話を切った。母親からは少し訳アリの感じが漂っていたので、他の講師に任せることはできないと判断し、私が面談から授業まですべてを行うことに決めた。
それから2日後の体験授業当日、夕方6時半ごろ、その少女は母親とともに現れた。
他の講師も私もその少女を見て息をのんだ。
通常、他の中学2年生は学校の制服やジャージを着ているか、私服と言っても子供が身に着ける予想できる範囲内の服装だが、その少女の服装や人物像、表情などどれをとっても同世代のものとは明らかにけた違いに大人びていて、素晴らしかった。
細身でスラリと背が高く、肩くらいまで真っ直ぐにきれいに伸びた黒髪、クリっとした大きな目が特徴的で、非常に精巧に作られ、可愛さを持ったお人形さんのような芸術性を兼ね備えていた。
・ある女の子の体験授業
体験授業を受けてもらう前に塾の説明をすることがルールなので、面談をする部屋に私と母親とえりなさんが入った。
「本日はよろしくお願いします」私は名刺を渡し、自己紹介をして、塾の説明を一通り行った。
「この曜日が来られないということでしたが、よろしければ理由をお聞かせ願えますか?」母親との話を聞く中で、この部分が解決すれば次に一歩進めると思い、私は思い切って理由を聞いてみた。
「その日は夜まで仕事のレッスンがあるのです」母親は私の気持ちを察したのか、ほぼすべてを話してくれた。
話を聞いてみると、彼女えりなさんは現在母子家庭で育てられていること。今はアイドルの卵 (雑誌などのモデルの仕事はたまにやっているとのこと) で、とある5人グループで来年デビューをする予定だということ。塾に来られない日はそのグループのレッスンが入っているらしく、難しいということ。彼女はグループの中では最年少だということなどが分かった。
レッスンは自己練習も含めて夜中まで続くこともあり、次の日は学校に行けなかったり、練習でうまくいかない場合は次の日も練習になるとのことだった。(練習は仕事ではないので中学生であっても夜中まで活動できる)
「そうですか。わかりました。では、この状況で私達がどのようなサポートが出来るのか一緒に考えてみましょう。」私は、中学2年生は通常は週3回来てもらうが、今回入塾した場合、特別に週2回に減らし主要教科の英語と数学のみ授業を受けてもらうこと、その他の教科に関しては、土曜・日曜を使って来られるときに補習を行うことを提案した。
「それでは体験授業を行います。えりなさん、A教室に私と一緒に行きましょう。」母親とは一旦別れて、えりなさんを連れてA教室に入る。教室にはすでに10人ほどの生徒が私の授業を待っており、廊下に声が聞こえるほどいつも通り騒がしかった。
しかし、彼女と私が教室に入った瞬間、教室は一瞬にして静まり返った。生徒達は、決して私が怖いわけではない。いつもなら、私が『うるさい!黙って。』と言うまでこの騒音は続く。彼女の存在がこの騒音を一瞬でかき消したのだ。教室には同じ学校の生徒も勿論いるのだが、休み時間中も彼女には気安く声をかけられないような様子だった。
オーラが出ている。勿論人には見えない。しかし、そこにはまぎれもなく一般人とは違う何かが存在しているように私には思えた。
『今日はよく頑張ったね。すごく頭がいいんだね!』授業が終わって彼女にそう話しかけた。彼女は嬉しそうに天使のような笑顔を私に見せた。学校にあまり行っていないながら、彼女の頭は非常に良かった。その時、私は彼女の英語を担当したのだが、発音もきれいで、言われたことをしっかりとやってくれた。この子は伸びる。間違いなくそう感じた。
・アイドルが入塾
授業後母親と話をして、2日後に入塾するかどうかを決めてもらうことにした。彼女が帰った後、程なくして塾生達がどわーっと講師室に寄ってきた。
『ねぇねぇあの人誰?すごいきれい。芸能人???』ある中3の女生徒が速攻見破るw
『○○中の安田でしょ?おれ初めて見た。』他の中学校にまでどうやら評判が行っているようだ。
『私知ってるよー。でも言わない。えりなと約束してるから―。でもえりなの私服姿は初めて見たような気がする。お金持ちって感じw』えりなさんと同級生の女生徒が答える。
その日の塾に吹いた風は、講師も塾生も皆が今まで感じたこともないくらいに強く、しかし繊細で、圧倒的な存在感があるがとても清々しいものだった。
『まぁまぁ、自分の教室に戻りなさい。』皆を半ば強引に教室に押し戻し、その日1日の業務が終了した。
2日後、えりなさんは無事に入塾した。2年生の間はプラン通りに進めていった。学校は休みがちだったが勉強の方は特に問題なく、学力もグングン伸びて県内のトップ校も狙える位置まで来ていた。
塾に慣れてくると、彼女は天使のような笑顔を塾内いっぱいに降り注いでいった。男性講師、女性講師問わず、えりなさんを教える先生達のモチベーションはあり得ないくらいに日々上昇していた。これがアイドルのチカラか…私は常に『ひいきは絶対にだめだからね!!!!』と先生達に苦言を呈していた。
入塾する時にえりなさんは『高校は芸能と両立できる私立高校に進みたい』という希望を持っていた。そしてすでにある高校に狙いを定めていた。その高校は芸能活動を認めている学校で、中学校の出席日数が不足気味であっても偏差値さえクリアしていれば高確率で受かるという情報もその高校の担当者から私はすでに得ていた。
このままの状態ならば問題なく行けるだろう。
私はそう考えていた…
しかし、事件は起こってしまった。
明日に続く。
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